ヤマビルが1時間も吸血し続けられる理由とは?
ヤマビルは前吸盤の中に逆Y字型をした筋肉質の3つの顎があり、それぞれの顎には顎歯(がくし)と呼ばれる非常に細かい歯が70~80個、2列に並んでいる。吸血するときにはこの3つの顎を上下に動かしながら細かい歯で動物の皮膚を切り裂いてあふれ出てくる血液を吸う。

ヤマビルには血液を凝固させない物質
なお、蚊はポンプ機能を果たす器官を持っていて、極めて短時間に吸血できるが、ヤマビルには「ポンプ」がないので吸血には長い時間が必要となる。
通常、血管が破られると血液は凝固するので、ヤマビルは長く吸血できないはずであるが、ヤマビルは1時間以上吸い続けることができる。それはヤマビルの歯と歯の間には唾液腺の管が多数開いており、そこから血液を凝固させない「ヒルジン」という物質が多く分泌されるからである。
なお、ヒルジンには血液の凝固阻止作用の他に、毛細血管の収縮を少なくしたり、痛みを和らげるモルヒネ様の作用もある。
そのため、ヤマビルに吸血されていても痛み・かゆみも、腫れることもほとんどなく、1時間以上吸血されても気づかず、靴下・下着などに血がついて汚れていたり、足から血が流れているのを見て初めて気づく場合が多い。
ヤマビルに吸血される部位は足が多い
ヤマビルによる吸血量は1cc以上で、蚊に比べて圧倒的に多く、吸血後のヤマビルの体重は吸血前の5~10倍にもなる。また、吸血されると、その箇所は2~3時間は血が止まらず(流血量1cc以上)、一時的に血が止まっていても入浴すると再び出血してくることがある。
また、ヤマビルに吸血される部位は足が最も多く、靴下の中に潜り込んでいるため、気づくことは少ない。次に多く吸血される部位は首・頭部である。
吸血されると、血がなかなか止まらず、かゆみもしばらく続き、赤く腫れるなどの症状が見られる。これらの症状は1ヶ月程度で治ることが多いが、まれに5~6ヶ月の間、症状が持続する場合があり、注意する必要がある。