プレイステーション歴代モデルの基板から見えてくるPS進化ヒストリー

※本記事は「ゲームラボ」等に掲載した記事の再掲載版です。2014年初出時のものとなっております。あらかじめご了承ください。

プレイステーション発売20周年ということで、ゲーム音楽サントラの爆安セールなどお得なキャンペーンが実施されたり、PS4のPS20周年アニバーサリー エディションが発表されたりと、さまざまな動きがありますが、もっと別の角度からプレステの歴史を振り返ってみるのはいかがでしょうか。というわけで、本日の“知っとく”ネタは、ハンダマスターかしま氏による、基板で振り返るプレステ進化のヒストリーです!!

初代プレステを基板で振り返る

地球上に1億3千万台あるとされる名機・プレイステーション。1994年12月に登場してから2006年に生産終了となるまでの11年間に、国内で9モデルが発売された。それらを分解し、基板からハードウェアの変遷を辿ってみよう。

執筆|ハンダマスターかしま

SCPH-1000(1994年12月3日発売●39,800円)

  • ① CD-ROMコントローラ/SONY CXD2516Q
  • ② CD DSP/SONY CDX1199BQ
  • ③ SPU(Sound Processing Unit)/SONY CXD2922Q
  • ④ 512Kbit DRAMサウンドメモリ/TOSHIBA TC51V4260BJ-80
  • ⑤ Audio DAC/旭化成 AK4309AVM
  • ⑥ 32MB BIOS ROM/Ricoh RS534340F
  • ⑦ Video DAC/SONY CXD2923AR
  • ⑧ 4Mb SGRAM/Samsung KM4216V256G-60×2
  • ⑨ GPU/SONY CXD8514Q
  • ⑩ CPU/SONY CXD8530AQ
  • ⑪ 4Mb EDO DRAM/Samsung KM48V5148J-6×4

初代プレステの中身がこちら。発売は20年も前になるため、基板の様相も昔懐かしいレトロな雰囲気と言えるが、これは基板設計用CADやパターン決めの流行にも大きく左右されるもの。初期型は機能ブロックごとにLSIチップが分かれていて回路隠蔽などが行われておらず、好事家の間ではハックを行う場合に信号の流れを捕まえるのに都合がよかったようだ。基板の大きさは横190×縦160mm。

SCPH-3000(1995年7月21日発売●29,800円)

  • ① CPU/SONY CXD8530BQ
  • ② 筐体シールドコンタクト部が変化。

プレステ発売後、初めてのマイナーチェンジ。S端子が早くもオミットされ、値段は一気に1万円もの値下げとなった。基板としては、筐体シールドコンタクト部の小さな変更以外はほとんど一緒だが、白いシルク印刷が大幅に省略されていた。GTEがバージョンアップしたため、 CPU型番のサフィクスがAQ→BQになっている。

SCPH-3500(1996年3月28日発売●29,800 円)

  • ① SPU/SONY CXD2925Q
  • ② 8Mb SGRAM/KM4232G 271Q-12(4Mb×2 → 8Mb×1に)
  • ③ GPU/SONY CXD8561Q
  • ④ CPU/SONY CXD8530CQ

SCPH-3500はコントローラがふたつセットになった「ファイティングBOX」として登場。基板の呼称がPU-8になり、SONYプロテクトに関わる80ピンのメカニズムコントローラが52ピンのチップ(モトローラ MC68HC05G6相当)へ変更された。Pサウンド処理を行うSPUの型番が変更となり、CXD2925Qに。このチップは7000番までの3モデルにわたり引き継がれた。また、CPU、GPUにも型番の変更が見られる。

SCPH-5000(1996年6月22日発売●19,800円)

  • ① 8Mb SGRAM/FUJITSU MB81G83222-012
  • ② CPU/SONY CXD8606Q
  • ③ 16Mb EDO RAM/TOSHIBA TC51V18325BJ-60(4チップ → 1チップに)

短期間でマイナーチェンジ。基板の呼称表示はPU-8のままだが、 拡張コネクタ付近のチップ部品サイズが小さくなっているほか、メインメモリの4チップ構成EDO DRAMが、4倍容量の1チップへと変更になった。16Mbチップのほうが高価なはずだが、トータルではコストダウンが見込めたのだろうか。初代から1年半で本体価格は約半値になっている。

SCPH-5500(1996年11月15日発売●19,800円)

  • ① Video DAC/Philips TDA8771AH
  • ② GPU/SONY CXD8561Q
  • ③ 8Mbit SGRAM/Samsung KM4232G271Q-12
  • ④ Audio DAC/旭化成 AK4309AVM
  • ⑤ 512Kb DRAM サウンドメモリ/富士通 MB814260-70
  • ⑥ 4Mb EDO DRAM/Samsung KM48V5148J-6×4
  • ⑦ CPU/SONY CXD8606Q
  • ⑧ 32MB BIOS ROM/OKI MSM534031C-31
  • ⑨ SPU/SONY CXD2925Q
  • ⑩ CD DSP/SONY CDX1815Q
  • ⑪ CD-ROMコントローラ/SONY CXD2516Q

『ファイナルファンタジーVII』発売の2カ月前に登場。基板はPU-18となり、チップの配置が大きく変更され、ビデオ端子が消滅、基板の縦方向が25mm小さくなった。さらにシールドが強化され、 金属板が基板上にハンダ付けされている。

SCPH-7000(1997年11月13日発売●18,000円)

  • ① PLL Clock Generator/Cypress CY2801SL(53.693MHzオシレータから変更)
  • ② GPU/SONY CXD8561AQ
  • ③ 8Mb SGRAM/MSM54V25632A-10
  • ④ メカニズムコントローラ/SCE SC430934PB(MC68HC05G6、基板表に移動)
  • ⑤ 16Mb EDO DRAM/T7X16(TC61V18325BJ)
  • ⑥ CPU/SONY CXD8606BQ(GTE-2)
  • ⑦ CD-ROMコントローラ+CD DSP/SONY CXD1817R(CD-ROMコントローラとCD DSPをワンチップ化)

デュアルショックが同梱。基板の呼称がPU-20になった。MPUの画像演算コプロセッサがGTE-2となり、CPUのサフィクスがBQに。CD-ROMコントローラとCD DSPが統合され、144ピンのチップひとつにまとまったが、基板サイズに変更はない。GPUのクロック部が53.693MHzオシレータから14.318MHz水晶+PLLのハイブリッドに変更されている。

SCPH-7500(1998年12月1日発売●14,800円)

  • ① GPU/SONY CXD8561CQ
  • ② 8Mb SGRAM/MSM54V25632A-10
  • ③ 16Mb EDO DRAM/TOSHIBA T7X16(TC61V18325BJ)
  • ④ CPU/SONY CXD8606BQ(GTE-2)
  • ⑤ 512Kbit DRAM サウンドメモリ/OKI M514260C-60J
  • ⑥ CD-ROMコントローラ+CD DSP/SONY CXD2938Q(CD-ROMコントローラに、さらにAudio DAC、SPUが統合)
  • ⑦ CDサーボドライバ/PANASONIC AN8732SB

基板の呼称はPU-22。前回ワンチップになったCD-ROMコントローラがさらにAudio DAC、SPUと統合され、基板が小さくなった(190×120mm)。このチップ構成が最終型まで続く。9000番では拡張コネクタがなくなるため、本来の機能をひととおり備えているプレステシリーズのうち、最も安定版のモデルとなる。

SCPH-9000(1999年5月28日発売●オープン価格)

  • 赤いカコミ部分:外部拡張コネクタが削除されている

プレステ発売から4年5カ月経過し、前モデルから半年後となるマイナーチェンジ。このPU-23基板ではついに拡張コネクタが省略された。基板のサイズは初代1000番と比較して3/5以下(190×90mm)の大きさに。おなじみの灰色の四角い筐体はこのモデルで最後となる。

SCPH-100(PS one●2000年7月7日発売●15,000円)

  • ① 32MB BIOS ROM/MSM53403E-33
  • ② OPアンプ/NJM2174
  • ③ Video DAC/SONY CXA2106R
  • ④ GPU/SONY CXD8561Q
  • ⑤ 8Mb SGRAM/Samsung K4G163222A-PC70
  • ⑥ PWMコントローラ/TI TL594
  • ⑦ 512Kbit DRAM サウンドメモリ/AS4C256K16F0-60JC
  • ⑧ CD DSP/SONY CXD2938Q
  • ⑨ メカニズムコントローラ/SCE SC430942PB(MC68HC05G6)
  • ⑩ 8Mb SGRAM/Samsung  K4G163222A-PC70
  • ⑪ CPU/SONY CXD8606BQ
  • ⑫ RFアンプ/SONY CXA2575N
  • ⑬ CDサーボドライバ/ROHM BA5947FP
  • ⑭ 16Mb EDO DRAM/TOSHIBA T7X16

プレステ2の発売(2000年3月4日)後に、 プレステ用ゲーム『ファイナルファンタジーIX』にあわせて投入されたのがPS oneだ。2006年の生産終了までに国内で400万台以上が出荷されている。基板呼称はPM-41で、通信ポートのほか、不要な部分はごっそりそぎ取られ、 筐体もコンパクトになった。ちなみに基板は、外付けACアダプタ化のための電源回路が追加された以外は、SCPH-9000と配線レイアウトが違うだけで、ほぼ同一のチップ構成となっている。基板サイズは172×125mm。

ゲーム機が最先端だった時代と、進化し続けた名機

歴代のプレステ基板を見比べて、高集積化への変遷は感じられただろうか?

プレステが発売された1994年と言えば、PCの世界では486DX2-66MHzかPentium 100MHz(性能188MIPS)の時代。NECのPC9821からPC9800 互換機能が削られ、Windows 95(PC95規格)に対応しようかというころだ。

1画面分のJPEG画像を展 開するのに5秒かかり、MP3のエンコードに実時間の2倍かかった。そんな中、プレステはR3000A-33MHz(性能 30MIPS)、CD-ROMドライブ、3Dグラフィックのリアルタイムレンダリング機能を搭載して登場したのである。

そう、プレステのアドバンテージは、PCを凌駕したグラフィック性能だった。

MS-DOSで「ロータス1-2-3」ですよの時代、パソコンには高度なグラフィック機能は不要で、CPUより発熱するグラボなど存在しない。最新鋭GPUはゲーム機から始まっていたのだ。

だからこそ、 ゲームが創り出す世界は新鮮さに満ちあふれていた。

ゲーム表現がめざましく進化を遂げ、我々に未来の可能性を見せてくれた時代──バージョンアップを何度も繰り返したプレステの基板から、その残り香を嗅ぎ取っていただければ幸いである。