ドール道のすすめ[第6回] 「そうだ、1/6ドール作ろう。」素体選び、植毛、デカール、アイペイント……必死に色々カスタムしてみる

※本記事は「mitok[ミトク]」に掲載した記事の再掲載・転載版です。テキスト、画像いずれも2015年初出時のものとなっております。あらかじめご了承ください。

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入門者向けドール情報をお送りする連載も第6回もうええやろという声も重々受け止めつつ、今回はヘッド素体へのメイクカスタムや植毛、アイデカールでオリジナルの1/6ドールを作る方法をご紹介します。

ウィッグ、アイ、洋服、アクセサリー、撮影ミニチュアの制作などなど、自由なカスタマイズが醍醐味のドール趣味。ドール本体のお顔すら、市販ののっぺらぼうのヘッド素体にデカールを貼るかアクリル絵具などで筆書きすればオリジナルができてしまいます。とはいえ、細かい作業ゆえ失敗しがちで、初心者には腰が引けるところでして……

ということで、お絵かきにも模型工作にも覚えのない筆者なりに挑戦した結果をご報告。技術的な部分はさておき、自信がない人でも気軽にできるよう初めてだと失敗しやすいポイントや、あるとラクな道具を中心に解説します。一般読者に向けては、「よくわからないことに労力かけてるんですね」としみじみ思えるような読み物になれば幸いです。

まずはボディ&ヘッド素体をチョイス!

とりあえず作りたい子にあわせてボディとヘッドを選びます。1/12~1/6スケールサイズの素体を販売するメーカーは、それぞれにオリジナルボディ&ヘッドをラインナップしたアゾンとオビツ、オビツボディ用オリジナルヘッドを多数提供するPARABOXの3社が主となります。

▲左:オビツ21-01無植毛ヘッド 中:オビツ21-01植毛ヘッド(ナチュラル肌) 右:PARABOXプチ姫ヘッド(ホワイティ肌)。プチ姫など入れ目&ウィッグタイプの一部PARABOXヘッドを除き、各社とも描き目&植毛が前提の1/6ヘッド素体を提供しています。一部サイズには各髪色の植毛済ヘッドがあり、ヘアカットだけで髪型が作れるようになっています

現状1/6ボディに関しては、可動性重視かつ細身なオビツボディシリーズ、プロポーション重視で肉付きの良いピュアニーモボディシリーズ(アゾン)のほぼ二択。ちなみに昨日のワンフェスでオビツの新作1/6ボディ素体が発表され、ファンの期待が高まっている状況です。オビツ or PARABOX製ヘッドをアゾン製ボディに組み合わせる場合、あるいはその逆は、ヘッドの首穴かボディの首ジョイントに加工が必要となります。

▲①アゾンピュアニーモXS白肌 ②ピュアニーモS肌色 ③21cmオビツボディ女の子(マグネット付き) ④23cmオビツボディSBH女の子バストサイズS。アゾン・オビツ両社ともカラーが肌色(ナチュラル)と白肌(ホワイティ)に分かれており、ヘッドとの組み合わせには注意が必要です

本稿では1/6サイズでアニメ顔ヘッドを作る際によく使われるオビツ21-01無植毛ヘッドピュアニーモ植毛済ヘッドを例に取り、次ページから手間の少ない順でアイデカール→植毛→アイペイントと各カスタム方法を解説していきます。

参考:1/6サイズドール素体のメーカー別一覧

アゾン

  • ピュアニーモXSボディ(約21cm)……女の子白肌女の子肌色男の子肌色
  • ピュアニーモSボディ(約23.5cm)……白肌肌色
  • ピュアニーモMボディ(約25cm)……白肌肌色
  • ピュアニーモM/LLバストボディ(約25cm)……白肌(近く発売予定)・肌色
  • ピュアニーモLボディ(約26.5cm)……肌色
  • ピュアニーモ用植毛済ヘッド……アゾン店頭で取扱い

オビツ

PARABOX

※他にノアドローム素体、アゾンDOLL EDIT HEAD、ボークス27cm/22cm Dollfieなどがありますが、生産終了商品も多いため主なものに限定しました。

▲左:PARABOXプチ姫ヘッド+アゾンピュアニーモM白肌ボディ 右:プチ姫ヘッド+ピュアニーモS白肌ボディ 中:オビツ21-01ヘッド+ピュアニーモXS肌色ボディ。いずれもディーラー製カスタムヘッドで、ボディの首ジョイントをヤスリで細らせています

ヘッドとボディを選んだら(選ばなくてもいいですが)、次は一番手軽なアイデカール貼りにチャレンジ!

植毛ヘッドとアイデカールだけでも、わりとかわいい子が作れる!

10thひめの(おすまし口)10thちいか(にっこり口)。目の間隔や口の位置などは市販のドールが参考になります

描き目(アイプリント)タイプの1/6ドールといえば、アゾンのえっくすきゅーとシリーズなどが代表的。ひとまずこういうラインで可愛い子が作れれば本望かなあ、という向きも多いでしょう。ところで、アゾンドールのマスクデザインと同じ方がデザインを担当されたアイデカールも、アゾン店頭に売られています。

この「a-one-10 スペシャルデカール」と植毛済みピュアニーモヘッド素体をアゾンで買ってくるのが、オリジナルの子を作るのに一番手っ取り早い方法かと思われます。ので、やってみましょう。

デカール貼りに必要なもの・あると便利なもの

※価格は参考程度に。

  1. アイデカール「a-one-10 オリジナルデカール」(税込756円)
  2. ピュアニーモ用ヘッド植毛タイプ(税込1620円)
  3. 水皿(梅皿が映ってるけど水入れられればなんでもよいです)
  4. Mr.トップコートスプレー つや消し(税込540円)
  5. Mr.カラーうすめ液 中(税込270円)
  6. Mr.マークソフター(税込216円)
  7. Mr.マークセッター(税込270円)
  8. ハサミ(100円~)or 精密ナイフ(500円前後)
  9. ピンセット(100~1500円程度)
  10. カッティングシート(100円~)
  11. 綿棒(100円~)

ドールショップと模型屋と百均で揃います。これにボディ素体(2000円程度)を加えて、全部揃えても7、8000円程度。何体もお迎えしていると感覚が麻痺しますが、アゾンの1/6完成品ドールは1体1万~1万5000円ぐらいなので、金銭的にも負担は少なく済みますよ。

ちなみに④トップコートスプレーつや消しですが、写真にはトップコートスプレー光沢が映ってます。いきなり間違えました。以下、本稿では仕上げのコーティング材に「造形村フィニッシングパウダースプレー」(税込864円)を使用しています。

●Check. 慣れない買い物の際はアイテムの種類、用途などに注意!

手順自体はシンプル! アイデカールの貼り方

手順① 綿棒などにうすめ液を乗せ、両目のモールド(凹凸)を中心にヘッド表面を拭く。うすめ液が乾いたら、同じくヘッド表面にマークセッター(デカールの軟化・接着剤)を塗る。とくに問題はないと思います。

手順② デカールを台紙から切り取る。なるべく透明の余白を残さず綺麗に切りたいのですが、ハサミでは困難です。筆者は両目2セットぐらい切りすぎてダメにしました。精密ナイフで瞳、二重まぶた、眉をそれぞれ分けて切るのが理想でしょうか。切ったデカールは水に浸けて10秒程度で台紙から剥がれるので、表面を傷つけないようピンセットでつまみます。

●Check. デカールはなるべくホビー用の精密ナイフで切ろう!

手順③ デカールを貼る。筆者は瞳から貼りました。よく挙がる注意点として、初めてだと寄り目にしがち。両目を気持ち離し気味に貼りましょう。次に、おそらくこめかみ下あたりの曲面でデカールが浮くので、軟化剤のマークソフターを上からそっと塗ります。ヘッド表面とデカールの間に空気が入った場合、水を乗せた綿棒などで表面を軽く押してぴったり貼りましょう。

手順④ 両目のバランスを確認。肉眼で正面から見るだけでなく、鏡に映したり、写真に撮ったり、ヘッドを逆さにして見て、違和感があれば微調整します。可愛く作る上では瞳の位置のバランスが最も重要なポイントのようです。この調整だけで2時間はかかりました。

手順⑤ 瞳を基準にまぶたと眉と口を貼る。大変小さいので、大変です。先端の細いピンセットがやりやすいですが、尖った先端でこすると結構簡単にデカールの印刷面が消えます。

つまりこんな感じに、右まぶたとかが欠けます。慣れていないと位置の調整が大変困難で、筆者はまぶたと眉も2,3セットダメにしました

●Check. 台紙のデカールも切り取る最中にうっかりこすると簡単に消えるので、手袋などをしておくと安心。前髪がデカールにかかっても剥がれる原因になるので、おでこ辺りでマスキングテープを貼っておくとベター。

手順⑥ 貼れました。筆者は前髪を留めておかなかったがために貼ってから眉尻が欠けたので、眉を両方短くしてごまかしました。最後につや消しなどのコーティング材をスプレーします。スプレーも吹く前に振ったり、一気に厚塗りはNGだったり、換気が必要だったり、色々面倒です。プラモとかで慣れてない人は注意書きをよく読んで吹きかけましょう。

ヘアカットして、なんとかできた……

▲素体は「ピュアニーモボディM / LLバスト」を使用。服はアゾン製の余り物を適当に

前髪だけざっとカットし、仮のチークを軽く入れました(チークに関してはアイペイント編で後述)。瞳は完璧に左右対称でなくとも、最終的には肉眼で違和感がないなら大丈夫です。作業前に明確なイメージは一切ありませんでしたが、意外といい感じのチャンネーになってくれました。

瞳やまぶたが若干かすれましたが、前髪を長めにとってごまかしています。総作業時間は4時間。難易度的には、技術ゼロで突撃しても道具さえあれば一応なんとかなる程度と確認できました。瞳を左右対称にするのが一番大変ですが、ここで感覚を掴むとアイペイントも少しはラクになるかもです。

ちなみに、植毛済みヘッドは前髪までダダ長いロングストレートの髪型で販売されており、簡単な髪型ならカットだけで作れますが、ツインテールなど一部の髪型にすると生え際部分に追加で植毛しないとハゲが見えたりします。凝った髪型にしたい人や、そもそも欲しい髪色の植毛済ヘッドが見つからない人は、一からヘッドに毛を植える必要があるのです。ということで次ページは植毛をやってみます!

ドールヘアの植毛に必要なもの

  1. 無植毛オビツ21-01ヘッド(税込432円)
  2. ドールヘアー 植毛用サラン(税込648円)
  3. 布団針 or ぬいぐるみ針(300~700円程度)
  4. くし、歯ブラシなど(100円~)

写真に入れ忘れましたが、ハサミか糸切りバサミも要ります。マスキングテープもあると嬉しいかも。ソフビ製ヘッドを貫くために布団針、ぬいぐるみ針などの太い針を手芸店などで買っておきましょう。筆者はドールにちょうどいいミニチュアの麦わら帽子と一緒にユザワヤで買ってきました。道具自体はこれだけで、ボディ含め4000円程度で済みます。

植毛用のサラン素材の髪束はアゾン、PARABOXなどで。筆者は10thちいか氏の膝裏まで下がったスーパーロングストレートが好きなので、あと凝った髪型を作る根気が記事作成時に残っていなかったので、えらい長いサラン束をそのままの長さで植えることにしました。作るヘアスタイルが決まっている場合は、先にちょうどいい長さにサランを切っておきましょう。

※針ぶっさし画像注意! 玉結びで髪を植えていこう

手順① お湯や水などでサランを少しまとまらせたあと、束から10数本の髪の毛を抜くか、ハサミで切ります。一回植えるに際しての適切な本数は微妙なのですが、少なすぎると髪が薄くなったり、あまり多いとそこだけ浮いて見えたりするので、感覚としてはざっくり10~15本程度が適当かと思われます。

●Check. サランは一箇所で固くゴムに束ねられている。毛はゴムから抜くほうが手早く作業できるが、毛束が乱れて余計な本数の毛を抜いてしまいがちで、必要な分量に手元の毛をまとめ直すことになって煩わしい。根本からハサミで切って取るほうが、多少手間だが確実かも。

手順② 針に髪の毛を通したあとは、ヘッドに頭皮側から針を刺し、首穴から抜きます。抜くときは首穴周辺の肌を貫かないように注意しましょう。筆者は何回もアゴを貫通させかけました。一回本当に貫通させました

●Check. 密集して植えていくと針を通しづらくなるので、指貫があると便利。首穴から抜くときは手元に気をつけよう!

手順③ 玉結びか鎖結びで髪の毛を留めます。筆者は裁縫に不慣れなので玉結びにしました。初めてでも比較的簡単かなあという結び方を説明すると、まず通した針をヘッド側に寄せ、U字に出した髪の対岸側に針先を乗せます。髪は針よりもやや長めに出しておくとやりやすいです。

手順④ 対岸側で髪の毛を三回ほど針に巻きつけます。この状態で針を引っ張ると、さくっと玉結びになる。ハズ。結べたら髪と針を切り離し、頭皮側から髪を引っ張り出して一セット完了です。結びが甘いと頭皮側に引いた際に何本か抜けてしまうので注意しましょう。筆者はそれでだいぶサランを無駄にしました

●Check. 感覚としては長く太い針のほうが通しやすいが、密集して植えて針が通りにくくなった箇所は、短く細い針に替えたほうがスムーズかも。

以上の手順をひたすら繰り返すわけですが、初挑戦した筆者の植毛は始めて早々、目が粗すぎたことが判明。隙間からハゲが見えまくりました。慌てて毛穴の並びも無視して植えまくった結果、植えすぎてサラン1パックを使いきり、大変もっさりした仕上がりに……事前にヘッドに植毛部分のアタリを書いておきましょう!

●Check. 髪をあちこちに植えてヘッドの取り回しが悪くなってきた場合、マスキングテープなどで髪を留めておくとラク。

▲雑で恐縮ですが、植毛の密度はざっくりこのようなイメージです。つむじを集中的に植えると、同心円状にそこそこな密度のサイドに髪が層状に被さり、ちょうどよいボリュームになるという感じでしょうか。分け目だけは交差法で植え、正中線から左の列に植えた髪は右へ、右の列に植えた髪は左へと交互に倒していきます

●Check. 頭頂部から植え始めるのが理想だけど、分け目とつむじは一番大変なので、初めてなら後回しにしてもいいかも?

なんとか植毛、できた……?

▲でろ~ん

ボリューミーすぎるうえに長すぎました。いや切りますが、事前に少し切っておくべきでした。この植毛という作業は大変根気が要るものでして、アタリをつけず闇雲に植えたのも災いしたか、仕事の合間にちくちくやって約1ヶ月はかかりました。玉結びでなく鎖結びでささっとこなすか、さもなければ心してヘッドに針を刺し始めましょう。

●Check. 植えすぎた!と思った場合、気になる髪の毛を根本で切り、ヘッド内部の玉結び部分は目打ちなどで毛穴から落とそう。毛穴が広がりすぎていなければ、再植毛は容易。

▲分け目がほぼ存在せず、つむじも前に来すぎました。ぎりぎり頭皮は見えていませんが、ハゲを隠そうと無駄な位置に植えがちだったようです

▲植毛済ヘッドはこんな感じに綺麗に仕上がっています。分け目の植え方と前髪への流し方などは、やはり既成品が大いに参考になるようです

▲植えすぎてヘッド内部が玉結び地獄になり、危うく首ジョイントがハマらないところまで詰まってしまいました。あとピュアニーモボディに入れるべくオビツヘッドの狭めな首穴を拡げてますが加工が雑すぎです。普通のカッターでは顎下まで削ってしまうので、ルータや先の細いデザインナイフなどがベストかも。色々と反省点が残る結果になりました

ということで、植毛は特別な技術は要らないながらも計画性と根気が求められる作業だと確認されました。初心者だと動機も湧きづらいでしょうが、市販ドールの抜毛&再植毛カスタムや植毛済ヘッドへの追加植毛をする機会に備えて、布団針ぐらいは用意しておくと便利かもしれません。

●Check. 植毛した後は抜け落ちた毛が結構散らばっているので掃除必須。おそらく植毛した髪にも大量のホコリが絡んでいるので、お湯パーマなどの熱処理の前後にはブラッシングを忘れずに。これ俺の場合だけか……?

それでは、執念で髪植えまくったこのヘッドに、 次はアイペイントを施します!

ドールカスタム最難関? アイペイントに挑戦!

▲右はオビツ21-01ヘッド、左は更に小さなオビツ11-01ヘッド。さすがに左はシンプルに黒目がちですが、右は結構色が重なってます。こうした個人製1/6カスタムヘッドは主にオークションで2、3000円前後スタートで出品されており、手間と釣り合っているのか素人目には判断いたしかねるところです

小さいドールのメイクカスタムというのは、ゴルフボール大のヘッドの表面にミリ単位で線を置き、左右対称に顔の各パーツを配置することから始まります。この時点で不器用な人間にはお手上げなのに、そのうえ虹彩の模様やグラデーションといった瞳の表現まで入ってくるとなると、これはちょっとどうにもならない気がします。

でもまあ、20cm前後の小さい子なら多少出来が悪くとも、自分で作った愛着込みで可愛がるに支障はないハズ。肩の力を抜いて一度試してみてもいい道楽だと思われます。ので、とりあえず筆者もやりました。

アイペイントに必要なもの・あると便利なもの

  1. ヘッド
  2. 面相筆など極細の筆3、4本(1本300~500円程度)
  3. ダーウェント水溶性パステルペンシル ピンク系(税込237円)
  4. 鉛筆&ねりけし(200円~)
  5. リキテックス小チューブ(1本税込162円) or 造形村アクリル ベーシックカラーセット(税込1512円)
  6. スポイト(100~300円程度)
  7. パレット 梅皿、ペーパーパレットなど(200円~)
  8. 爪楊枝(100円)
  9. メイク用綿棒(100円) or Mr.綿棒 先端極細硬化タイプ(税込324円)
  10. Mr.カラーうすめ液(税込270円)
  11. アサヒペン ラッカーうすめ液S(税込693円)
  12. スロードライブレンディングメディウム(税込756円)
  13. グラデーションメディウム(税込594円)
  14. グロスバーニッシュ(税込453円)
  15. 造形村フィニッシングパウダースプレー(税込864円)

多いですがドールショップと模型店、画材屋で揃います。ここはおもいきり道具の力に頼りたいところ。メイク用品一式買ったらアゾンの店員さんに「可愛い子ができるといいですね」と言ってもらえたものの、まったく自信がありません。以下の手順はズボラな初心者の一例としてお読みください。

まずは顔パーツの輪郭を下描き!

手順① ヘッドをうすめ液で拭いてから鉛筆やチャコペン、色鉛筆など消しやすいもので薄く下描き。その上をなぞるか、もしくはいきなり面相筆に乗せた薄い茶色で瞳の形や全体のイメージを取ります。

デカール貼りの際と同じ要領で、この時点でなるだけ左右対称を目指します。線が乱れたら水かうすめ液を乗せた綿棒、爪楊枝などで色を削りましょう。筆者はあとちょっとで納得できるかどうかまで詰めた挙句、いつの間にか8時間経っていたので写真の段階で諦めました。素直にデバイダーやノギスで両目の間隔を測るのが一番かもしれません。

●Check. 線は極力細くしておきたい。筆先を滑らせるのでなく、そっと色を乗せるような慎重な筆使いが肝要……とはいえ、筆者のように細かい作業をすると手が震えるタイプの方は、「線は爪楊枝で彫り出すもの」と開き直って当たり的にざっくり線を引いていくのもアリ。仕方ねえよ。

▲爪楊枝や綿棒で細かく色を削ると、ヘッドが結構汚れてきます。また、鉛筆で下描きをした方はうすめ液でも跡が消えなくて難儀する場合があるかも。この際、 模型屋でよく見るMr.カラーうすめ液だけでなく、より強力なアサヒペンのラッカーうすめ液を用意しておくと、さくっと汚れも鉛筆の跡も落ちるので便利です。また、メイク用綿棒よりも更に先の尖ったMr.綿棒やNY.綿棒があると格段に微調整が効くようになります

ダークブラウンなど濃い色を重ねていく

▲下描きだけでどっと疲れたため、多少モチベーション上がるかな?と先にチークを入れましたが別に大して上がらないうえに下まつ毛を修正したときに消えたのでチークは最後でいいです

手順② 瞳の輪郭をダークブラウン、アイラインを黒で本書き。黒単色だと重いのでやや茶を混ぜて塗りましたがあまり意味が見いだせない仕上がりです。眉毛と口のやる気のなさはもちろんアイラインもガタガタなので、気分次第にあちこち極細綿棒で修正を進めていきます。

手順③ 次に瞳の内側をベースの色で薄く塗りつぶすのですが、おそらくこのあたりで「リキテックスだいぶ色ムラになる上に乾くの超早いな?」と気重になる方も多いハズ。微修正と並行して塗ろうとすると、パレットに乗せた先から固まっていく気すらします。ここでリキテックス グラデーションメディウムとスロードライブレンディングメディウムが必要になります。

▲スロードライブレンディングは半白濁の粘度が高い液体で、パレットに出した絵の具に混ぜておくと乾きが遅くなります。グラデーションメディウムは水気が多く、水の代わりにこれで絵の具を溶くとずいぶん伸びが良くなります。筆は色ごとに3、4本を使い分けると便利です

●Check. 全体に絵の具はグラデーションメディウムでかなり薄め、筆をティッシュに置いて水分を取ってから塗るのが基本。これを薄い色から濃い目へと何度も繰り返し重ね塗ると綺麗な仕上がりになるが面倒くせえ!という方は1、2回重ねる程度で特に問題ないと思われる。重ねるたび線がはみ出すし、もう許してください。

いよいよ瞳の内側を……塗る!

 手順④ 瞳を薄い色から徐々に濃い色へ塗り重ねる。ハイライトを乗せ、白目もやや濁らせた白色で塗っておく。グラデーションをかける場合、絵の具が乾く前に水を乗せた筆でなぞって色同士の輪郭をぼやかす。上記のメディウムがあれば普通よりだいぶ楽に塗れるはずですが、筆者は下描きからぶっ続けでここまで進めて結局徹夜しました

●Check. 眉は好きな色で塗ってOK、口は茶系でほんの小さめがちょうど良い印象。開いた口なら内側を白やピンクで、縁取りを茶系か黒にするのがいいのかなとぽよ口のアゾンドールを見ると思います。

手順⑤ 最後まで調整を重ね、つや消しを吹きます。この最終調整も凝り始めるとキリがないというか、今更目がデカすぎることに気づいてアイラインを詰めるも左右非対称が際立ってヘコんだり、色ムラを直すつもりが塗った混色の作り方を忘れて一段濃い色でゴリッと厚塗りをするに終わったり、体力の限界で最低限のグラデーションもかけられないままやむなくつや消しを吹いたら失敗して顔一面に白濁が乗りまくったり……

幸いうすめ液を乗せた綿棒で軽く押したら綺麗になりましたが、結構ハラハラものでした。コーティングスプレーがうまく吹けない場合、グロスバーニッシュ(仕上げ用ニス)でアイペイントだけでも保護しておくとよさそうです。

●Check. 頬のチークは赤系を綿棒で徐々にトントンと乗せ、お好みで白を乗せた爪楊枝でハイライトをチョンとつければOK。アゾン店頭でもバラ売りしている水溶性パステル色鉛筆は、軽く描いて水を乗せた筆で広げると簡単にぼかしチークになる。少しでもラクしたいなら買い!

完成! ということにしよう!

頭頂から熱湯をぶっかけて髪にストレートパーマをかけ(アイペイントは一応マスキングテープを貼って保護)、前髪だけさっと切ってひとまず制服だけ着せた図。瞳の処理は全体にだいぶ不満が残りますが、二日間かけた素人の無理くりな突貫作業ならこんなものだろうと思われます。

ということで意外にも完成しました。徹夜明けのせいか謎の感動があり、一応形になってよかったなあとひと安心。ならなかったらこの記事どうしようかと思ってました。

やってみた実感としては、完成させるだけなら意外と手先の器用さよりも、細かな作業に耐える根気と集中力のほうが要求される印象。線を引けなくても極細綿棒か楊枝で削れば形になるので、筆者のような絵が描けないオタにとっては不思議な快感がある作業のような気がします。お絵描きや模型といった手を動かす系の趣味に縁がない人にこそ、一度試してみてほしいかもしれません。

今回紹介した作業手順や道具類はあくまで一例というか筆者の経験不足からカバーしきれない部分が多すぎるため、アゾンで売ってるハウツー本やネットを参照したり、なにより実際にやってみるのが一番かと思われます。好みの筆や塗料を探す楽しみもあり、「やっぱアイペは無理そう」という人はデカール自作の道もあり。何やら、人形の見目良さにのみあらゆる手間をかけるのは不思議な幸せがあっていいなと思います。

最後に、最も肝心なのは明確な完成形のイメージを持っておくことだと思うのですが、今回作った子は版権キャラを再現しようとしてさくっと失敗しました。それでも一応瞳の形の基準になったりするので、ひとまずキャラドール作りを目的にするのもオススメです! 台無しなことを言ったところで筆を擱きたいと思います。

▲本記事とは全っ然関係ないのですが先日届いた「TF Olive」が大変ツボにハマったのでおすすめしておきます。海外ドールのお迎えについては連載その5をご覧ください。長々と失礼いたしました